日本に昔から生息している生物を脅かしたり、農作物に甚大な被害を与えたりする「外来生物」。彼らの中でも特に要注意とされているのが、「特定外来生物」です。
単に外国からやってきた生物、というわけではなく、日本固有の生態系に大きな影響を及ぼすのが特定外来生物。じつはすごく身近な生き物にも、特定外来生物がいます。
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日本の特定外来生物
「特定外来生物」という名前を聞くと、なんだかあまり身近な感じがしませんよね。しかしあなたのすぐそばにも、特定外来生物はたくさんいます。
哺乳類
・アライグマ
・マングース
マングースは沖縄周辺でハブを駆除するために放たれましたが、予想に反してハブをほとんど退治しないどころか、在来種を襲ってしまうため、特定外来生物として今度はマングースのほうが駆除対象となってしまいました。
爬虫類・両生類
・タイワンハブ
・ヒキガエル(一部)
・ウシガエル
カミツキガメはペットとして販売されていましたが、大きく成長することやかなり攻撃的なこともあり、持て余して川などに捨ててしまうケースが多発。噛まれると大けがをすることもあるため、とても危険です。
タイワンハブはハブ酒やマングースとの決闘ショーに用いるために輸入されたものが、野生化したと言われています。在来種のハブよりも毒性が高く、近年では被害が増加しています。
ヒキガエルやウシガエルは食用として持ち込まれたものが野生化し、日本固有の生態系を脅かしていることで有名ですね。子供のころはその辺で捕まえたウシガエルを家で飼っていた、という人もいるかもしれませんが、今それをすると逮捕されます。
魚類
・ブルーギル
・ブラックバス
特定外来生物と外来生物の違い
ただの外来生物であれば、飼育しても問題ありません。ペットショップで売られているエキゾチックアニマルなども、外来生物ですからね。
しかし特定外来生物に指定されている生き物の場合、飼育・運搬・輸入・譲渡が完全に禁止されているので注意が必要です。
特定外来生物の「飼育」
特定外来生物の飼育は、一部の例外を除いて、完全の禁止されています。一部の例外というのは、研究や展示といった場合。そして特定外来生物として規制される前から飼っていたという場合です。ただしその場合でも、きちんと許可を得たうえで、生き物を逃がさないようにするための施設を用意する必要があります。
特定外来生物の「運搬」
特定外来生物を見つけた場合、その場所からどこか別の場所へ移動させるのも禁止です。例えば、釣ったブラックバスを生きたまま家に持って帰る…というのも「運搬」に当たります。その場でのキャッチ&リリースは問題ありません。(※ただし地域によっては、条例で禁止されていることもあるので要確認。)
「ブラックバスを持って帰って食べたい」という場合、釣ったその場できちんと締めたものであれば、持ち帰りOKです。
特定外来生物の「譲渡」
例えば、特定外来生物に指定される前から飼育していたカミツキガメを、もう飼えなくなったから…と言って、人にあげることは禁止されています。後から紹介する「ミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)」などは、今後この「譲渡」に関して問題が多発すると予想されています。
特定外来生物に関する罰則
特定外来生物を飼育したりすると、知らなかった場合でも、罰則を受ける可能性があります。
・飼養(虚偽)…3年以下の懲役または300万円以下の罰金
「飼養」というのは、飼育・保管・運搬などのことを指します。使用の場合、無許可なだけならまだ罰は軽いですが、偽装や不正をして許可を得た場合には、罪が重くなります。
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ミドリガメに関する特定外来生物の問題
ペット用のカメとして人気の高い「ミシシッピアカミミガメ」通称「ミドリガメ」。ペットショップやホームセンターではワンコインほどで赤ちゃんが売られていますし、縁日の「カメすくい」などでもおなじみです。
しかしミドリガメは成長すれば体長30㎝程になり、かなり大きな水槽が必要になることや、寿命が30年と長いことなどから、川や池に放流する人が続出。
一時はミドリガメを特定外来生物に指定するという話もあったのですが、他の生き物と比べても、現在ペットとして飼われている数が多いことがネックとなっているようです。
特定外来生物に指定されると、現在飼育している場合も飼育の許可が必要となるため、それがハードルとなり「捨てガメ」や違法な譲渡が大量に増えるのではないか、と考えられています。
そのため現時点ではまだ特定外来生物とはなっておらず、「緊急対策外来種」という位置づけにとどまっています。