一十百千万億兆…このくらいの数の単位までなら、日常生活で目にする機会が多いですよね。
しかしそれ以上の単位となると、まず普段使うことはありません。
中でも、「恒河沙」や「阿僧祇」になると、「えっ、それって数の単位なの?」とビックリする人もいるでしょう。

存在は知っているけど、使う機会はまずないね。

ていうか、「恒河沙」とか「阿僧祇」とか、なんか単位の名前っぽくないんだよね。
「1恒河沙」とか「1阿僧祇」って、違和感がすごい…。

数の単位というのは、仏教用語から来ているものが多いんですよ。
仏教用語はサンスクリット語から来ていますから、馴染みのない響きになるのは当然です。
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数の単位

そもそも、数の単位、全部言えますか?

一・十・百・千・万・億・兆・京…
後は恒河沙とか阿僧祇…と、無量大数!

途中がだいぶ飛んでますね…。

正解はこうです。
単位の名前 |
読み方 |
一 |
いち |
十 |
じゅう |
百 |
ひゃく |
千 |
せん |
万 |
まん |
億 |
おく |
兆 |
ちょう |
京 |
けい |
垓 |
がい |
秭 |
じょ |
穣 |
じょう |
溝 |
こう |
澗 |
かん |
正 |
せい |
載 |
さい |
極 |
ごく |
恒河沙 |
ごうがしゃ |
阿僧祇 |
あそうぎ |
那由多 |
なゆた |
不可思議 |
ふかしぎ |
無量大数 |
むりょうたいすう |

那由多!不可思議!
そういえばそんなんだったわ~。

このくらい、小学生の授業でも暗記したりしますよ。

いや~、もう長年勉強とは遠ざかっているから…。
「兆」以上になると、使う機会も聞く機会もほぼ無いし。
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数の単位の由来

「極」まではわかるんだけど、なんでそこから急に「恒河沙」になるんだろう?

じつは恒河沙以上になると、その単位がどのくらいの数を表すのかすら、きっちりと決まっているわけではないんですよ。

「とにかく大きい数字を表す言葉」として、仏教用語の中から選ばれたのが、恒河沙以降の単位なんです。
恒河沙(ごうがしゃ)の由来
「恒河沙(ごうがしゃ)」というのは、一般的には10の52乗を表す単位とされています。(10の56乗を表すと考える場合もあります。)
日本語としてはあまり耳慣れない言葉ですが、元々は仏教用語から来た名前で、「恒河」はサンスクリット語の「ガンガ(ガンジス川)」を意味しています。
つまり恒河(ガンジス川)の砂(沙)のように大きな数ということで、恒河沙という言葉が単位として使われるようになりました。

ガンジス川の砂の数…そりゃあ途方もない数になるね。
阿僧祇(あそうぎ)の由来
「阿僧祇(あそうぎ)」というのは、一般的には10の56乗を表す単位とされています。(10の64乗を表すと考える場合もあります。)
こちらも恒河沙と同じ、元は仏教用語のサンスクリット語が由来となっており、サンスクリット語で「数えることができない」という意味を表す言葉から付けられました。

10の56乗…数えようと思ったら、どのくらいかかるんだろう?

1秒に1つ数えたとして、100年かかっても数えられるのは31億5360万までです。

すごい…。
まさに「数えることができない数」だね。
那由多(なゆた)の由来
「那由多(なゆた)」というのは、一般的に10の60乗を表す単位とされています。(10の72乗を表すと考える場合もあります。)
那由多も恒河沙や阿僧祇と同じく、サンスクリット語の仏教用語が由来の元。
サンスクリット語で「きわめて大きな数量」という意味を表す言葉「ナユタ」から来ています。

もうこの辺になると、数えようって気も起らなくなるよね。

「大きい数」だってことがわかれば、それでOKだよ、もう。
不可思議(ふかしぎ)の由来
「不可思議(ふかしぎ)」というのは、10の64乗を表す単位です。(10の80乗を表すと考える場合もあります。)
不可思議という言葉は数の単位以外でも、「謎めいたことや怪しいこと」という意味で使われていますね。
元々は不可思議も仏教用語であり、「仏の力は言葉で表したり推し量れるものではない」という意味がありました。
これが転じて、言葉で表せないほど大きい数のことを表す単位として使われるようになったのです。

不可思議って、恒河沙・阿僧祇・那由多に比べて「ちょっとふざけてる?」って感じの印象だったけど、すごく深い意味があったんだね…。
無量大数(むりょうたいすう)の由来
「無量大数(むりょうたいすう)」というのは、10の68乗を表す単位です。(10の88乗を表すと考える場合もあります。)
これはもう名前から由来がすぐにわかるかと思いますが、「数えられないほど大きな数」を表す単位として、この名前が付けられました。
現在、数の単位として一般的に使われるものの中では、最も大きな単位ですね。

もう数が大きすぎて、現実感がない…。

例えば世界の海岸の砂粒の数を全て集めても、1000垓粒くらいしかないと言われています。

普段の生活で「無量大数」という単位が必要になることは、まずないでしょうね。
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無量大数以上の単位
無量大数と言うと、「無限」のことだと勘違いしている人もいるのではないでしょうか。
概念としての「一番大きな数」だと。
しかし先ほども紹介しましたが、無量大数と言うのは10の68乗を表す単位。
途方もない数ではありますが、当然、それよりも大きい数というものは存在します。

ってことは、無量大数よりも大きな単位があるってこと?

当然ですよ。

よくそんな単位まで、考える人がいたなぁ…。
不可説不可説転(ふかせつふかせつてん)
3世紀にまとめられた「大方広仏華厳経」という書物によれば、「不可説不可説転(ふかせつふかせつてん)」という単位があります。
仏典に記されている単位の中では最大の単位とされていますが…これ、どのくらいの数を表す単位だと思いますか?

う~ん…。
無量大数の100倍くらい?

あなたの想像力は、やっぱりその程度だと思いました。

なっ、なんだと…!

答えは、およそ10の37澗乗です。

…え?もう一回言って?

およそ10の37澗乗。
1の後に0が37澗個つく数字です。

37”澗”ですらもう想像がつかないのに、37澗”乗”…!!

この画面いっぱいに0を並べても、到底足りないレベルの数字ですよ。

こんな単位、誰が使うのよ…。
まとめ
今回紹介したのは、漢字表記の単位についてでした。
じつは漢字表記以外の単位だと、不可説不可説転よりも大きな「グーゴルコンプレックス」という単位もあるんですよ。

ちなみに、グーゴルコンプレックスとはどのような数なのですかね…。

10の(10の100乗)乗です。

…?

10を無量大数回かけあわせた数よりも、まだまだ大きい数ってことですよ。

…すごいね!

(…もはや考えるのを放棄したな…)