「四月一日」…一見するとただの日付のようですが、じつはこれ、苗字なんです
世の中には珍しい苗字がたくさんありますが、その中でも特に、「日付が苗字になっているもの」はまず初見では読み方がわからないものばかり。

「四月一日」って…
どこからどう見ても、日付だよね。

他にも「八月一日」や「十一月二十九日」なんて苗字もあるんですよ。

十一月二十九日!?
なんて読むのか、想像もつかない・・・。
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日付で表す難読苗字の読み方

今回ばかりは、全然正解できる気がしない…。

今回に限らず、毎回正解率は低いですけどね…。

え?何か言った?

いいえ、なにも。
それではまずは、正解を見ずに考えてみてください。
・五月七日
・六月一日
・八月一日
・八月十五日
・十一月二十九日
・十二月一日
・十二月晦日

これって、少しは漢字の読みと、読み方が一致してたりするの?

いいえ、まったく。

基本、「知らなければ読めない系」の難読苗字ですね。

…じゃあもう、答えを教えてクダサイ。
…
…
…
…
…
…
…
…
四月一日(四月朔日)

4月1日と言えばエイプリルフール…
もしや、それに関係した苗字?

全然関係ないです。
そもそも、エイプリルフールは海外発祥のイベントでしょう。

正解は「四月一日」と書いて「わたぬき」です。
旧暦の4月1日は、現在の暦で言えば5月の中頃。
この季節になると、人々は冬の間に着物に入れていた綿を抜いて薄着になることから、四月一日と書いて「わたぬき」と読むようになりました。
「四月朔日」と書いて「わたぬき」と読むこともあります。
五月七日

次は五月一日が来ると思ったら、まさかの五月七日。
なぜこんな中途半端な日付に…。

先に答えを言ってしまうと、五月七日は「つゆり」と読みます。

なぜ五月七日なのか、それには昔行われていた儀式が関係しているんです。
「つゆり」というのは別の漢字で「栗花落」と書くのですが、意味は漢字そのまま「栗の花の落ちる頃=梅雨入り頃」を表しています。
そして旧暦の五月七日には栗花落(つゆり)祭りという雨乞いの儀式を行っていたことから、五月七日と書いて「つゆり」と読む珍しい苗字が誕生したのです。
六月一日

これはもう考えても全くわからない!
答えをお願いします!

六月一日の読み方は「うりわり」です。
現在の暦では7月の中頃ですが、この季節は瓜の実が熟れて割れる時期です。
そのため、六月一日で「瓜破り(うりわり)」と読むようになったと言われています。
六月一日は他にも、「むりはり」「くさか」と読むことがあります。
八月一日(八月朔日)

8月と言えば夏休みか~。
本藤くんの、夏休みってどんな感じだった?

わからないからって、話を脱線させないでください。

八月一日は、「ほづみ」と読みます。
現在の暦で言えば8月1日は夏真っ盛りですが、旧暦の8月1日は9月の中頃。
季節が秋めいてきて、稲が収穫され始めるころです。
このことから、八月一日と書いて「ほづみ(穂積み)」という名字が誕生しました。
「八月朔日」と書いて「ほづみ」と読むこともあります。
八月十五日

これまた、なんか中途半端な日付だね。

旧暦の8月15日と言えば、「中秋の名月」ですよ。
そこから、何か思い浮かびませんか?

あっ!「つきみ」とか「だんご」とか!!

さすがに「八月十五日と書いてだんご」は無いでしょう…。
答えは「あきなか」もしくは「なかあき」です。
旧暦の八月十五日と言えば、「中秋の名月」と言われて1年で最も美しい月が見られるとされている日です。
中秋というのは読んで字のごとく「秋の真ん中」という意味なので、それがそのまま苗字にも使われたというわけですね。
十一月二十九日

「私の名前は【十一月二十九日 恵梨子】です。」とか、インパクトがヤバイね。

もしかして読みも、すごく長かったりする?

いえ、漢字の数に対して、読みはそこまで長くありません。
読み方は「つめづめ」です。
初見では絶対に正解にたどり着くことができません。
由来がかなり気になるところではありますが、残念ながら由来に関する情報は出てこず…。
十二月一日

12月と言えば冬だよね~。

ストレートに、十二月一日と書いて「ふゆだ」とか?

あっ、惜しいですね。
旧暦の12月の異名を思い出してみてください。

えーっと…なんだっけ?

…このページで勉強してください。

あっ!「師走」だ!

そう、答えは「しわすだ」です。

昔の人も、12月に入ると「師走だー!」ってテンション上がっちゃってたのかなって感じの苗字だね。
十二月晦日

十二月晦日…年末ってことだよね。

そうです。
そこから連想して作られた苗字で、読み方は「ひづめ」もしくは「ひなし」です。
12月の晦日と言えば、いよいよ年末。
新しい年までいよいよ日がなくなることから、十二月晦日と書いて「ひづめ(日詰め)・ひなし(日無し)」という読み方の苗字になりました。
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まとめ
今回紹介した名字の中で、現在でも使われているのは「四月一日」と「八月一日」くらいです。
中には本当に実在したのか定かではないものもありますが、こういった言葉遊びから作られた名字って、日本人らしくてとても面白いですよね。

それにしても、昔の人の苗字のセンスって、面白いね。

小鳥遊、月見里、薬袋とかも、なかなか思いつかないですしね。

え、それなんて読むの?

さぁ、それでは僕はこれで失礼します。

え、ちょっと待って、答えが気になる!
答えを言ってから帰ってー!!
「小鳥が遊ぶ⇒天敵のタカがいない⇒たかなし」
「里から月がよく見える⇒山がない⇒やまなし」
「殿様が薬袋を落としても(殿様の健康状態を探るのはNGなので)中は見ない⇒みない」