ゼリーを初めとして、羊羹やムース、プリンなど、冷やして固めたお菓子に使われる「ゼラチン」や「寒天」。
どちらも「液体を冷やして固める」という点では同じですが、じつは成分や性質には大きな違いがあります。

なんとなく違うものだなってことはわかるんですけど、ちゃんと違いを説明するとなると、意外と難しいですね…。

寒天はプリンプリン、ゼラチンはプルプルって感じです。

何、そのふわっとした説明。

ゼラチンと寒天は、原料・カロリー・溶ける温度・固まる温度・食感、すべてにおいて違いがあるわ。

そんなにたくさん違いがあるんですか!?
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ゼラチンと寒天の違い
ゼラチンと寒天は、「液体を固める」という性質以外、様々な違いがあります。
その違いをよく把握しておかないと調理に大失敗してしまうこともあるので、しっかり覚えておきましょう。
原料の違い

ゼラチンと寒天、それぞれ何から作られているか知ってる?

え~っと…。
寒天は何かの海藻でしょ、で、ゼラチンは…

な、何かプルプルしたものから抽出されているはずです。

あいかわらず、ふわっとした知識しかないのね。

ゼラチンの原料は動物由来のコラーゲン、寒天の原料は海藻由来の食物繊維よ。
まずゼラチンの原料となるのは、牛骨・牛皮・豚皮・魚などから作られたコラーゲン。
コラーゲンに様々な処理を加えたうえで抽出された動物性たんぱく質が、ゼラチンなのです。

豚の角煮や魚の煮付けを作った時、冷めると煮汁がぷるぷるに固まってるでしょ?

あれは肉や魚から染み出したコラーゲンが、煮汁を固めているのよ。

私の大好きな”煮凝り”の正体は、ゼラチンと同じだったんですね!
次に寒天の原料となるのは、テングサやオゴノリなどの海藻です。
テングサやオゴノリには食物繊維で構成された粘液質が含まれており、煮沸→濾過→凝固→凍結を経て、粘液質の食物繊維のみ残ったものが寒天です。

初めに寒天を作った人はすごいですね。

海藻を煮沸→濾過→凝固→凍結なんて複雑な手順、普通じゃ思いつきませんよ。

もともと、テングサなどを煮込んだ汁を濾過して、冷やして固めたのが「トコロテン」なの。

ある日いらないトコロテンを外に捨てたところ、凍って固まった。
そしてさらに放置して解けて乾燥しているものを、試しに水で戻して食べてみたら美味しかった、というのが寒天の始まりよ。

偶然の産物だったんですね!

だから寒天というのは、「寒ざらしところてん」の略称なのよ。

はぁ~、寒天にそんな裏話があったとは。
カロリーの違い

ゼリーも寒天も、ヘルシーでダイエットには最適!ってイメージがありますね。

でもあえてどちらか選ぶなら、どっちのほうがダイエットに向いているんですか?

カロリーだけで言えば、寒天のほうが低いわ。

だけどゼラチンだって、かなり低カロリーな食品よ。
まずゼラチンのカロリーは、メーカーにもよりますが100gあたり約350kcal。

350kcal!?
お茶碗一杯分のご飯くらいじゃないですか!?

よく見なさい。
100gあたり350kcalでしょ。

ゼラチン100gって、ゼリーが7~8リットル作れる量よ。
100gあたりのカロリーだけ見ると高カロリーだと勘違いされがちですが、1人前のゼリーやプリンに使われているゼラチンはたった1gほど。
なので、一人分のゼリーに使われるゼラチンのカロリーは約3.5kcal。

ゼラチン自体は、かなり低カロリーなの。

ゼリーを食べても太る!という人は、ゼリーにたくさん含まれている糖分を考慮していないからじゃないかしら。

たしかに、いくらゼラチンが低カロリーでも、砂糖をたっぷり入れたらカロリーは高くなりますよね…。
次に寒天ですが、寒天のカロリーはほぼ0kcalです。
100gあたり1kcal以下というものがほとんどなので、1人分の寒天を食べたとしても、カロリーなんてほぼありません。

そして寒天も、いくら0kcalだからと言っても、砂糖がたくさん入っているものは、太りやすいからね。

ゼリーや寒天を食べてダイエットしたいなら、自分で砂糖控えめのものを作るといいわ。
溶ける温度の違い
ゼラチンと寒天では、調理する際の「溶ける温度」が違います。
このことを知っておかないと、ゼラチンや寒天が溶け切らず、固まりにくくなってしまいます。

まずゼラチンが溶ける温度は50~60℃よ。

あれ?意外と低いんですね。
もっと熱湯で溶かすものだと思ってました。

逆にゼラチンは高い温度で溶かしてしまうと、たんぱく質が変質を起こして固まりづらくなってしまうの。

「ゼリーがうまく固まらない」という原因には、沸騰したような高温のお湯でゼラチンを溶かしてしまったからというのが多いわ。

じゃあ、寒天はどのくらいの温度で溶けるんですか?

寒天が溶ける温度は90~100℃。
つまりゼラチンとは逆で、寒天には沸騰したお湯を使わないと、キレイに溶けないってことね。

全くの正反対なんですね…!
間違えないようにしないと。
固まる温度の違い
ゼラチンと寒天は、解ける温度だけではなく、固まる温度にも違いがあります。

ゼラチンが固まるのは20℃以下、寒天が固まるのは30℃以下よ。

どっちも冷蔵庫に入れて固めるから、固まる温度にはそんなに差がないのかと思っていました。

寒天は真夏以外なら常温でも徐々に固まっていくけど、ゼラチンの場合は冬以外に常温で固まることはまずないわね。
再び溶ける温度の違い
ゼラチンと寒天が一度固まると、次に溶けだす温度は、初めよりも低くなります。
つまり作ったゼリーや寒天が再度溶ける温度に、違いがあるということですね。

まず、ゼラチンが再度溶ける温度は25℃以上よ。

ということは、真夏にゼリーを常温に置いておくと、溶けてきちゃうってことですね。

口の中の温度でも溶けるから、ゼリーは口の中に入れると溶けてなめらかな食感になるのが特徴よ。

それに対して、寒天が再度溶ける温度は38℃前後。

ゼラチンに比べると、かなり高いですね。

そうね。
だから寒天は常温に置いていても、溶けることはないわ。

そして口の中に入れても溶けないから、ゼリーに比べるとプリプリとした弾力が強く残るの。
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ゼリーや寒天が固まらない原因

今まで何度かゼリーや寒天を作ってみたんですけど、なぜか固まらずに失敗することも多かったんですよね…。

ゼリーや寒天がうまく固まらないのは、さっき言った温度の問題以外にも、いくつか考えられる原因があるわ。

まず、生のパイナップルなどたんぱく質分解酵素が多く含まれているフルーツを使った場合ね。
生のパイナップルやキウイには、たんぱく質分解酵素が多く含まれています。
そのため、たんぱく質で作られているゼラチンと、生のパイナップルやキウイを一緒に使ってしまうと、酵素の働きでゼラチンが固まらなくなります。

パイナップルやキウイを使いたい場合は、ゼラチンじゃなくて寒天を使うといいわ。

そっか!
寒天はたんぱく質じゃなくて、食物繊維ですもんね。

もしくは、フルーツを一度加熱することで、たんぱく質分解酵素の効果は無くなるわ。

例えば、缶詰のパイナップルなら使っても問題ないわよ。

パイナップルやキウイ以外にも、ゼラチンと相性の悪い食材ってありますか?

はちみつや生姜にもたんぱく質分解酵素が含まれているから、使う場合は少量にとどめた方がいいわね。

あとは、かんきつ類など酸の強いフルーツも避けたほうがいいわ。

酸が強いと、ゼラチンや寒天が固まるのを阻害してしまうの。

えっ、かんきつ類は寒天でもダメなんですか!?

でも、ミカンゼリーとかグレープフルーツゼリーって、よく見かけますよ?

使う量の問題ね。
目安としては、果汁が全体の20%以下になるように気を付けるといいわ。

もしかして、前に私が失敗したのは…
果汁100%のミカンジュースを温めて、薄めもせずにダイレクトにゼラチンをぶっこんだからでは…!?

…むしろ、なんでそれで成功すると思ったのか不思議よ。
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まとめ
ゼラチンと寒天は似ているので、
「どっちも同じような使い方でしょ」
と侮っていると、大失敗してしまいます。

どっちも同じようなものだという認識は、改めないといけませんね。

ゼラチンと寒天の違いがしっかりわかれば、もう失敗することはないはずよ。

また諦めずにチャレンジしてみたら?

いや~でもぶっちゃけ、ゼリーも寒天も、材料買って自作するほうが高くつくじゃないですか。

もう今後は完成品を買えばいいかな…って。

…。